地震の担保特約をつけた保険に加入 お施主様との請負契約もスムーズに
地震の担保特約をつけた保険に加入 お施主様との請負契約もスムーズに
地震は全国どこでも起きる可能性があり、いつ発生するかわからない。
そして、地震の発災の際は、建設産業が復旧工事など最前線で地域の守り手としての役割が求められている。
一方、新築住宅の建築などの工事中に、地震による損害が出た場合、誰が損害を補償するかが問題になることが多い。
民法の原則では、不可抗力によって損害が生じた場合、その損害は受注者(工務店)が負担することとなっている。
しかし、建設工事における不可抗力による損害を、民法の原則どおり受注者負担とした場合、リスク分が請負代金額に組み込まれ、結果として契約金額の上昇を招き、発注者(お施主様)も重い負担を抱える必要が生じてしまう可能性も発生しかねない。
このため、国土交通省では「公共工事標準請負契約約款」、「民間建設工事標準請負契約約款」などにおいて、不可抗力による損害の負担をすべて受注者が負うのではなく、発注者に対しても負担する範囲を明確化している。
例えば「公共工事標準請負契約約款」では、損害合計額のうち請負代金額の100分の1を超える部分については、発注者が負担することとしている。
また、受注者が加入する火災保険や建設工事保険などで損害を補填できる場合、発注者の負担額から控除することも明記されている。
しかし、通常天災といっても地震や噴火などは保険契約上免責事項に該当しており、火災保険や建設工事保険に加入しているだけでは地震などによる損害は補償されない。
受注者の工務店は発注者のお施主様と請負契約を結ぶとき、約款の説明をするだろう。
この約款の中で、不可抗力の損害は通常お施主様が負担することと記載されていることが多い。
一方、工務店は物件に対し、火災保険や建設工事保険などを別途かけるもの。
そのため、この説明の中でお施主様から「地震が発生して損害が出た場合は自分が支払うのか」、「(工務店が)加入している保険で補償できないか」などと心配され質問されることもあるかもしれない。
火災保険や建設工事保険などでは、地震などで発生した損害は補償されず、不可抗力の損害はお施主様ご自身が支払う必要があった。それを知ったお施主様が請負契約を結ぶのに躊躇するということもあっただろう。
しかし、地震の担保特約をつけた「保険」に加入している場合、お施主様の不安が解消され、契約がスムーズに運ぶことが考えられる。このように、保険は実際に起きたときに補償してくれるツールで、備えておくと安心感をあたえることに繋がる。
改めて地震は、全国どこでも起きる可能性があり、いつ発生するかわからない。
そのため事前にしっかり対策をする必要がある。その取り組みの1つが保険だ。今一度加入されている保険を見直してみるのもいいだろう。
日本住宅新聞提供記事(2024年7月25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp