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目指せ、新4K!

建設業は、担い手の確保が喫緊の課題となっている。
建設業従事者数は、ピークの平成9年が685万人だったのに対し、令和5年は483万人で全産業に占める割合が7・2%と減少。
そして、55歳以上が36・6%、29歳以下が11・6%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が困難となりつつある。

その要因として、建設業は他産業より賃金が低く、就労時間も長いことが挙げられる。
令和5年の全産業の平均年収額は508万円である一方、建設業は432万円と、約15%少ない。
加えて、全産業の平均労働時間は1956時間だが、建設業は2018時間で約3・1%長くなっている。

さらに最近では、資材が高騰し、その分の適切な転嫁が進まず、労務費(賃金)を圧迫。さらに今年4月からは時間外労働の罰則付き上限規制が適用開始となった。
建設業が持続可能な「地域の守り手」としての役割を果たすため、「処遇改善」、「働き方改革」、「生産性向上」に取り組む必要がある。

こうした中、「第三次・担い手3法」が今年6月に公布。
❶「労働者の処遇改善」、❷「資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」、❸「働き方改革と生産性向上」――を3つの柱として様々な取り組みが始まる。

❶では、労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化。著しく低い労務費等による見積り提出や見積り依頼を禁止し、総価での原価割れ契約を注文者だけでなく受注者にも禁止する。
そして、適正な水準の労務費が、公共工事・民間工事に関わらず、受発注者間、元請~下請間、下請間のすべての段階において確保され、技能労働者の賃金として行き渡ることを図る。

このため、中央建設業審議会が「適正な労務費の基準」を作成し、これを著しく下回る見積り・契約締結を禁止し、違反した者は法律上、勧告・処分の対象となる。
国は建設Gメンを設置し、実地調査や書面調査を通じて労務費の見積り実態や価格交渉の実情など、請負契約の実態を把握する方針だ。
不適当な取引行為に対しては改善指導を行い、取引の適正化を図るとともに、必要に応じて許可行政庁による強制力のある立入検査等を実施する。
なお、労務費の基準の作成に向け、9月以降に中央建設業審議会にWGを設置し、検討を行う予定だ。

❷では、契約前のルールとして資材が高騰した際の請負代金等の「変更方法」を契約書の記載事項として明確化し、受注者は資材高騰の「おそれ情報」を注文者に通知する義務を課す。
契約後のルールとしては資材高騰が顕在化した場合に受注者が「変更方法」に従って契約変更協議を申し出たときは、注文者は誠実に協議に応じる努力義務を課すことになっている。

❸では、長時間労働の抑制として工期ダンピング対策を強化(著しく短い工期による契約締結を受注者にも禁止)、ICTを活用した生産性の向上について示されている。

これらを取り組むことで就労状況が改善し、担い手の確保につながる。工務店にはぜひ、「給与がよい」、「休日がとれる」、「希望がもてる」、「かっこいい」の『新4K』を実現してほしい。



日本住宅新聞提供記事(2024年9月5日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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