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合板の日実行委員会 業界の発展に寄与した人物を表彰

合板の日実行委員会は11月8日、東京都内で「合板の日記念式典」を開催。
当日は功労者表彰が行われた他、恒次祐子東京大学大学院農学生命科学研究科教授が講演「新たな機能評価による木材の付加価値化~地球環境と人のウェルビーイングの観点から」を実施した。

「合板の日」とは1907年11月3日に浅野吉次郎氏が独自にロータリーレースを開発し、国内で初めて「合板」を製造したことに敬意を表して2013年に制定されたもの。11月3日を「合板の日」として定めるとともに森林林業・合板機械・接着剤・物流流通等合板産業に関わる全ての業界が大きく発展するよう祈念している。

 冒頭、同委員会の吉田繁委員長が合板博物館の設立経緯や合板への情熱について挨拶した。この中で「合板なくして住宅産業は成り立たない」といわれるほど大きな役割を果たすようになった業界の現状について「嬉しく思っている」と発言。さらに「合板の日や博物館を通じて、合板の知名度をさらに上げていきたい」と期待を述べた。
 当日は合板産業の発展に多大な功績があった人物に対する表彰が行われた。今年は㈱日刊木材新聞社の岡田直次会長が受賞。これは「情報、言論という広い立場での活動」、「木材合板産業界の企業、団体及び行政などの相互連携の発展と拡大への貢献」、「歴史の記録と発信」の3点が評価されたもの。岡田会長は受賞者スピーチで感謝の意を示したのち、「受賞は私個人ではなく、日刊木材新聞の79年の歴史に対する栄誉」とした上で、「末永く掲示しておきたい」と喜びを語った。

正しい情報に基づいて木を使うことが必要

記念講演会では東京大学大学院農学生命科学研究科の恒次祐子教授が登壇。
「新たな機能評価による木材の付加価値化~地球環境と人のウェルビーイングの観点から~」というテーマで講演を行った。
冒頭、恒次教授は建物の基本的な機能として「生命が脅かされない」、「衛生を確保する」、「人間の生活が効率的に快適に営まれるような場を提供する」という3点が教科書に挙げられていると紹介。これに加え、現代においては環境に対する負荷が小さい「環境調和性も忘れてはいけない」とする。

古くから木材の安全性や強度、耐火性などの研究が進んでおり、特に安全性に関してはその成果も多い。
一方で「快適性」や「環境調和性」といった分野についての研究はこれからの課題であり、より多くの研究が必要な状況だ。
恒次教授はこれらに焦点を当て、木材、木質材料、木造建築物、内装に木材を使った「木質空間」を対象に新たな機能をどのように評価し、考えていくか説明を行った。

この中で今年林野庁が発表した「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」の中で木材利用の評価方法について具体的な指針が示されていることを紹介。「カーボンニュートラル」、「マスバランスリサイクル」、「快適空間の実現」という3つの項目から評価手法を定めているとした。

講演では木のもたらす「快適性」に関するこれまでの研究事例、研究の動向についても言及。例えば研究事例の中で木材を使用した部屋と白いクロス張りの部屋の光の波長を比較した実験について紹介。
木材は冷たい色の光を吸収する特徴があることから、相対的に温かみのある色の光が増えることで、室内が温かく感じられると解説した。

最後に恒次教授は木材の効果として世間一般に認知されていても、中には科学的に未証明のものもあることを指摘。
過度な期待から、真偽が疑わしい事象がまぎれているとした上で、なるべく正しい情報に基づいて木を使うことが、木材をブームで終わらせないために必要なことだとまとめた。



日本住宅新聞提供記事(2024年11月25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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