国産材の利用拡大に向け知事会が提言
国産材の利用拡大に向け知事会が提言
全国知事会は第8回国産木材活用プロジェクトチーム会議を7月17日に開催した。
これは「新たな国産木材需要の創出」を検討項目とするもの。「中高層建築物及び低層非住宅建築物の木造化・木質化の促進」、「公共建築物の木造化・木質化の促進」など個別テーマのもと、国産木材活用に関する調査・研究を実施。
都道府県横断的な課題について国に対する提案・要望活動を行うことにより、施策の強力な推進を図るとしている。
会議の冒頭、プロジェクトチームのリーダー、小池百合子都知事が挨拶。
「歴史的な円安だが、まさにこの時期だからこそ国産の木材を生かしていくチャンスと捉えていかなければならない」と発言。国産材の利用拡大に向けた取り組みを訴えた。
当日は国の関係省庁を対象とした提言案が取りまとめられた。
この中で木材・木材製品の輸出拡大について要望。付加価値の高い製材品の輸出拡大に向け、相手国の建築法令の調査・整理、現地向けの設計・施工マニュアルの作成や更なる認知度向上に向けたPRの実施などを提言している。
その上で、ジャパンブランドとして注目されている木造軸組工法の海外普及を促進する取り組みを進めるよう求めた。
さらに木材の特性や木材活用のメリット・効果の発信についても言及。木材を利用した居住環境が人に与える効果についての研究やエビデンスの更なる蓄積・検証を推進するための支援制度を創設するよう求めた。
この他、京都府・高知県の木材活用に向けた取り組み事例を発表。さらに(一社)東京都木材団体連合会の庄司良雄会長と千葉大学国際高等研究機関環境健康フィールド化学センターの池井晴美准教授による講演が行われた。
このうち、池井准教授は木材のリラックス効果の解明について紹介。自然環境下で600~700万年間生活してきた人類は自然環境に対応した体を持って今の現代社会を生きているため、日常的にストレス状態にあるとする。その上で、男子大学生、大学院生45名を対象に木質壁による視覚刺激実験を実施したところ、脳前頭前野活動が沈静化し、脳がリラックスすることが示されたと報告。
現在のストレス社会において、脳活動も日常的に働き過ぎており、高すぎる状態にあると指摘した上で、木材由来の刺激によって、本来の人としてのあるべき状態に近づくと考えていると説明した。
日本住宅新聞提供記事(2024年7月25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp