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『第三の担い手』を定義し、着目

(一財)住総研は、具体的で豊富な調査、新しい事実の発⾒など、優れた論文を対象とした第22回「研究・実践選奨」・「同奨励賞」の表彰式・記念講演会を6月28日に開催した。

「研究・実践選奨」には、❶「居住と⽣業の場としてのインフォーマル市街地にみる共⽣と棲み分けの原理」(主査:⼩野悠豊橋技術科学⼤学准教授)、❷「リノベーション⼯事における第三の担い⼿の萌芽」(主査:河野直合同会社つみき設計施⼯社共同代表)、❸「伝統構法⽊造建物の簡易耐震性能評価法の構築」(主査:宮本慎宏⾹川⼤学准教授)、❹「全盲児の校内⽣活を⽀援する⾳声式触察校舎模型の開発と全国提供」(主査:須惠耕⼆熊本⼤学技術専⾨職員)――の4件が受賞。

「同奨励賞」は、ⓐ「⽀払意志額に基づく⾼性能住宅の中古住宅価値推計モデルの開発」(主査:五⼗⽯俊祐北海道⽴総合研究機構)、ⓑ「災害復興公営住宅団地の⻑期的活⽤と変化に関する分析」(主査:越⼭健治関⻄⼤学教授)――の2件が受賞した。

このうち、「研究・実践選奨」を受賞した❷の研究では、「建築に関わる職歴または学歴を有しておらず、対価を貰って施工を行う活動を継続的に行う人物」を『第三の担い手』と定義し、着目している。
同研究の目的は、『第三の担い手』の活動実態を明らかにし、建設業および地域社会における役割を考察することとした。

研究結果では、『第三の担い手』は多能工として幅広い工事を横断的に担う傾向にあり、技能の不足をプロの職人との連携によって補う実態を示唆。
さらに、リノベーション工事の中には予算や工事規模などの事情からプロの職人へ依頼しづらく、職人にとっても仕事として取り組みづらい領域が存在し、それらの顧客ニーズの一部を『第三の担い手』が担う構図があることを示唆した。
また、『第三の担い手』が特定の地域で活動することで、災害レジリエンスの向上、空き家再生を通じた活性化等に貢献する可能性を示している。

一方、『第三の担い手』が有する技能の評価や、技能や知識の不足を原因とする瑕疵や安全性、責任などに関する具体的な問題まで指摘できなかったとした。
今後さらに、『第三の担い手』に求められる「広義の技能」とリスクを高い解像度で検証していくとしている。



日本住宅新聞提供記事(2024年8月25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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