27年度注文戸建て87・5%に太陽光発電設置 住宅トップランナー制度
27年度注文戸建て87・5%に太陽光発電設置 住宅トップランナー制度
国土交通省と経済産業省は10月29日、住宅トップランナー基準の見直しについて話し合う合同会議(座長=田辺新一早稲田大学理工学術院創造理工学部教授)を開催。
当日は事務局より2027年度の建売と注文戸建てにおける太陽光発電設備の設置目標が示された。
住宅トップランナー制度とは年間一定戸数以上の住宅を供給する事業者に対し、国が目標年次と省エネ基準を超える水準の基準を定め、新たに供給する住宅について平均的に満たすことを努力義務として課す制度。
具体的には年間、建売戸建てで150戸以上、注文戸建てで300戸以上供給している事業者などが対象となる。
また同合同会議は令和3年10月に閣議決定された「エネルギー基本計画」内で住宅トップランナー基準の引上げについて言及されていることなどを受け、基準を整備することを目的に設置されたもの。
今年6月に行われた前回会議では住宅トップランナー基準の見直し等について検討したが、太陽光発電設備の設置目標については今後の検討事項としていたことから、今回改めて審議が行われた。
2022年度現在、新築戸建ての屋根置き太陽光発電設置率は31・4%だが、国は2030年にこれを6割まで引き上げる目標を掲げている。
そこで同合同会議では検討の方向性案として、建売戸建、注文戸建に関連する住宅トップランナー基準として太陽光発電設備の設置に係る目標設定を検討する方針だ。
こうした中、事務局は省エネ地域区分6地域における床面積120・08㎡の基準設定住戸に太陽光発電(4kW真南、設置角度20度)を導入した際の受益について試算を公表。
発電により年間エネルギー消費量の18・7%を賄える他、売電でさらに名目上31・0%のエネルギー消費量を賄うことが可能とする。
事務局は住宅トップランナー事業者の太陽光発電設置率が建売戸建住宅が8%、注文戸建住宅が58・4%、賃貸アパートが21・3%となっていることを説明。
これを踏まえ、効率的な太陽光発電設備の設置が難しいと思われる都市部狭小地や、落雪への安全性の配慮等が必要な多雪地域などの住宅を除き、設置目標を定める方針を示した。
この「設置が合理的でない住宅」について、同省は全住戸のうち20%程度存在すると仮定する。
この20%を除いた、全体の供給住戸の80%にあたる「設置が合理的な住宅」の戸数のうち、2027年度の目標として建売戸建てで30%に、注文戸建てで70%に太陽光発電設備を設置するとした。
さらにトップランナー制度に該当する事業者は同年度の建売戸建てで37・5%、注文戸建てで87・5%の目標を求める考えだ。
同省はさらに太陽光発電設備の普及促進にむけ、個人の負担軽減方策を発表した。
事務方はFIT制度に加え、再エネ事業者に対して電力を販売した時の価格に一定の補助額を加える「FIPの制度の導入」について説明。
この他、契約した事業者が屋根に太陽光発電設備を設置し、 所有者が電力を供給、購入することで初期費用を抑えた「屋根貸し」と呼ばれるモデルなどについても紹介された。
委員からは「建売りの数値が注文比で低く設定されているが、30年以降この差を設けなくてよいのではないか。目標が注文より低くていいという考え方を改めてもらう必要がある」といった意見が寄せられた。
その上で、同会議は事務局案の通りにまとめられた。今後、同制度についてはパブリックコメントを経て、来年春頃に公布・施行される予定だ。
日本住宅新聞提供記事(2024年11月15日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp