巳年にならい脱皮して成長と再生を 中国木材㈱新年互例会
巳年にならい脱皮して成長と再生を 中国木材㈱新年互例会
中国木材㈱は1月14日、東京都内で新年互例会を開催した。
当日、堀川保彦社長が国産材の活用や新しい工場の稼働など、未来を見据えた取り組みについて解説。
これからの変化に柔軟に対応しながら、持続可能な成長を続けていく方向性を打ち出した。
冒頭堀川社長は能登半島地震、人件費の高騰、日銀のゼロ金利政策の転換、為替の乱高下、住宅価格の高騰、物価上昇などが発生したことに言及。
世界ではウクライナ戦争の継続、ガザ地区の問題、米大統領選でのトランプ氏の再登板、欧州のインフレ問題、スエズ運河の閉鎖による物流の不安定化が起きたことに触れた。
上記の環境のもと、堀川社長は自社の動きとして一昨年発生した同社鹿島工場の火災による生産量の減少について反省の弁を述べ、改善に取り組んできたことを報告。
広島県呉市の本社工場と宮崎県の日向工場で米マツ製材を拡大し、火災前の80%まで生産量を回復しただけでなく、市場ニーズの高い商品在庫を増やし、価格についても火災前の水準に戻せたとした
昨年は「承」 今年は「転」
堀川社長は2024年を起承転結の『承』の時期だったと位置付ける。
『起』はコロナによるパンデミックとした上で、需給バランスが崩れ、ウッドショックが発生した過去を振り返る一方、大量生産によりコストを下げ大量販売を行い、余れば安く売るという価値観が変わってきたと説明。
人手不足により物が作れない現状にあって、「製品価格維持のため、供給でバランスを取る」、「納期も『守る』から『適正な納期』へ変化をしてきている」と指摘する。
こうした中、2025年は『転』の時期になると発言。特に住宅市場の現状と予測については、昨年の住宅着工は戸建て住宅が厳しく、非住宅が支えた状況だったとして、「戸建は、体感的に20%ほど低下した印象」という。
「市場が10パーセント変化すると製品価格の高騰、暴落が始まり、10パーセントを超えると大きな変化が起きる」と堀川社長。
それでも今年は「昨年が悪すぎたこと」、「金利上昇、4号特例の縮小から駆け込みが多少期待できること」から住宅着工は多少よくなるのではとの見通しを示した。
状況は米新政権次第
米マツ製品価格については「さらに予見が難しい」と釘を刺す。
同材は為替や原木価格など様々な要因から価格が変動するが、その動向はトランプ政権の政策次第で大きく左右されてしまう。
堀川社長は「今後円高傾向に進む確率が高い一方、極端な予想はしていない」と明かし、「期待を込め、今年後半に向けて140円台で落ち着くのではないか」との考えを見せる。
この他、移民問題、関税問題においてトランプ大統領が公約通りの政策を実行した場合、米国のインフレが上昇する懸念も否定できない。
同国の住宅需要は潜在的には高いとされているが、一方で現在金利や価格上昇から物件を購入できない層も多いという。
そのため、堀川社長は今後さらにインフレが進めば同国の住宅着工は減少の可能性もあると見る。
加えてそうした状況に陥った場合、米マツの原木価格は下落圧力を受けるとした。
欧州においては不採算事業からのレイオフや撤退が相次ぎ、価格、供給において不安定さが増すと想定されることから、「当面は厳しい時期が続くのではないか」との覚悟を見せる。
海外からの調達が厳しくなる現状と、木材の価値の転換期を迎え、中国木材として国産材へのシフトは避けられない「転」の状況になるとした。
5つの取り組みで難局に挑む
堀川社長「今年も過去にないほど厳しい年になると予測している」と話す。
その上で今年重点的に取り組む目標として「鹿島製材工場の再建」、「能代工場の本格稼働」、「循環型サイクルの構築」、「Jクレジット創出の推進」、「非住宅高層階木造化に対応できる商品開発」の5つを提示。
安定供給、安定価格、安定品質を確保するとともに、国産材化の流れを作るとした。
また、これらの取り組みを行う他、正確で早い情報の提供と新しい発想でお客様との協業を進める方針を紹介。
難局を乗り越える意志を表明した。
最後に干支にあやかり、蛇の脱皮のように成長と再生を行うことで、新しい文化に挑戦すると宣言。
今後の変化と厳しい状況に対応し、持続可能な成長を追求する姿勢をみせた。
日本住宅新聞提供記事(2025年1月25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp