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中国木材能代工場第一期完成披露式「国産材事業の中でナンバーワンを目指していくような工場に」

中国木材㈱は10月11日、秋田県能代市に建設した同社能代工場第一期完成披露式を開催。
堀川保彦社長を始め、佐竹敬久秋田県知事、齊藤滋宣能代市長が壇上に立ち、盛大に執り行われた。

国産材工場として同社6拠点目となる能代工場は国産材製材、乾燥加工、集成材、バイオマス発電を有するコンビナート事業。
このうち、製材棟は建設面積2万4899㎡、鉄骨造2階建てで今年1月稼働開始、加工集成材棟は建設面積4万9068㎡、鉄骨造1階建てで加工ラインは5月に、集成材ラインは7月から稼働を開始している。

その特長として挙げられるのが、労働力不足に対応するため、最新の技術を随所に取り入れて省人化を推進している点だ。
例えば加工集成材棟でラミナを生産する「モルダーライン」では、はじめに乾燥させた木材の含水率や形状を外観検査。
木材をモルダーと呼ばれる加工機で表面を滑らかに切削した後、画像処理機と目視で外観検査を行い、合格した良品のみ自動的に次の「プレスライン」工程に引き渡される。

その「プレスライン」工程は木材を接着する最も重要な工程だが、温度や湿度などの環境面、接着剤など管理を全て自動化した。
さらに積層工程後の細かな節補修では、全11台のロボットがパテ作業を実施。
デリケートで力も必要な工程だったが、宮崎県の日向工場でロボットを運用してきた経験を活かし省力化につなげた。

最後に集成材を製品サイズに加工し、最終出荷前に検査する「仕上げライン」では担当者が最終製品の出来栄えを確認。
合格したものは全自動梱包ラインで包装され、無人搬送機で製品倉庫まで輸送される仕組みを整えた。
こうして生産される集成材は月産5000㎥を見込む。

また、間柱、根太、垂木、野縁といった「乾燥小割」や柱、平角などの「乾燥大割」など無垢製品を手掛けるのが「兼用ライン」。
ここでは乾燥された材の含水率と計上を全自動で検査し、無事合格した材のみモルダーで製品寸法に加工。
作業員による最終的な目視を経た後、こちらも全自動梱包ラインに送られる。その一連の流れは実に効率的だ。

秋田から杉集成管柱を提供

式典で堀川保彦社長は「中国木材の国産材製品販売の基本は、安定品質、安定価格、安定供給、3つの安定が必要で、そのためには原木の安定確保が必須と考えている。
人口林、面積日本一の秋田県、そして 豊富な森林資源を有する東北地方への期待は絶大であり、過去東洋一の『木都』と言われた能代市に工場を設置できたことは大変嬉しく思っている」と挨拶した。

加えて同工場では杉集成材、管柱を主製品として生産する他、将来の木材需要減退に備えて2×4を含めた輸出製品の生産も視野に入れていると説明。
その上で「秋田県から杉集成管柱をしっかりお客様へ提供してまいりますので、何卒温かい目で叱咤激励を頂き、良い工場を育てて頂ければ」と今後の飛躍を誓った。

佐竹知事は「工場の創設は、雇用の創出、地域経済の活性化、交流人口を含め、能代市のみならず県内全域に波及効果が生まれる。
日本一の面積を誇る本県の人工林資源を有効活用し、切って使って植えるという森林資源の循環利用を積極的に推進しており、御社の取り組みはカーボンニュートラルの実現に貢献して頂くものと期待している」とエール。

齊藤市長は「地元高校からも多くの人材を採用して頂いた。
広島の会社だが、能代の、秋田県の工場としてお付き合い頂ければ」と期待を口にした。

秋田県初の木材利用促進協定

なお、当日は完成披露式に先立ち、秋田県、能代市、同社による建築物木材利用促進協定の調印式を実施した。
これは令和3年10月に制定された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の成立に伴い、建築物における木材利用を促進するために創設された制度。
事業者が国や地方公共団体と共同、連携して木材の利用に取り組むことで、民間建築物における木材利用、ウッドチェンジを促進し、脱炭素社会、持続可能な社会の実現を目指すとしている。

今回の協定では、中国木材による森林資源の持続的な整備、伐採、再造林による循環型林業の実現、住宅用材の安定供給、化石燃料によるCO2排出の削減など、森林資源の有効活用や地球温暖化対策について盛り込んだ。
また、秋田県内において初めて締結された協定となる。

式典後の囲み取材を受けた堀川社長は改めて能代市に工場を建設した理由について、「秋田県は人工林の面積がナンバーワン、伐採量もナンバーツーと非常に原木資源が豊か。この潤沢な資源をもっと価値あるものにしたくて進出してきた」と紹介。
現在地域で130名を雇用しており、将来的には250名ほど採用したいとした。

同工場で生産した杉集成管柱は静岡より東側で流通させる方針だ。
その上で、同社の「国産材事業の中でナンバーワンを目指していくような工場にしたい」と抱負を述べた。

中国木材能代工場
〒016―0122 秋田県能代市扇田扇渕3―12
℡(0185)58・5561



日本住宅新聞提供記事(2024年10月25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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