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LIXIL、近畿大学 窓改修の経済的効果、「薬剤費」などで示す

窓をはじめとした開口部の断熱性能を高め、住宅の高性能化を推進することは、CO2排出量や光熱費削減に繋がるほか、ヒートショックなど循環器疾患(脳梗塞・くも膜下出血・心筋症等)発症リスクの低減、アレルギー症状の緩和など健康面にも好影響を及ぼす。

こうした中、㈱LIXIL、近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科の藤田浩司准教授は共同で「住宅内温熱環境に基づく居住者の医療費・薬剤費の研究」の論文を発表した。

昨年、LIXILと近畿大学は、戸建て住宅の窓断熱改修による「光熱費」、「医療費」削減効果に関する研究論文を共同で発表。
今回は、戸建て住宅と集合住宅の窓断熱改修による「光熱費」、「医療費」、「薬剤費」削減効果について検証し、調査・研究を実施した結果をまとめた。

「薬剤費」の算出方法は、昨年報告した「医療費」と同様、約2万4千人を対象とした転居前後の健康変化に関する調査結果をもとにした。
そして、住宅内温度が起因する10疾患(心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)を対象に、住宅内温度から調剤薬局の薬剤費を推定できる式を作成。
調剤薬局の薬剤費は、NDBオープンデータ(厚生労働省の統計資料)を疾患毎に分類して利用している。

心疾患と脳血管疾患については、非暖房室(浴室やトイレなど)の最低温度を基に、その他の8疾患については居間や寝室などの滞在室の平均温度を基に、調剤薬局の薬剤費の期待値を推定。
この推定式を用いて、戸建て住宅・集合住宅の窓を断熱改修した際の住宅内温度シミュレーション結果から、調剤薬局「薬剤費」、「医療費」、「暖冷房費」を算出した。

シミュレーションの条件は、50歳夫婦と18歳と15歳の子供が居住する家族を想定。
窓改修前後における30年間の調剤薬局「薬剤費」、「医療費」、「暖冷房費」、およびそれらの削減額を示した。

この結果、戸建て住宅の窓改修による「暖冷房費」削減効果は約73万円/世帯・30年、「医療費」削減効果は約25万円/世帯・30年、「薬剤費」削減額は約5万円/世帯・30年となり、合計で約103万円/世帯・30年の経済的効果となった。

また、集合住宅の窓改修による「暖冷房費」削減効果は約33万円/世帯・30年、「医療費」削減効果は約15万円/世帯・30年、「薬剤費」削減額は約4万円/世帯・30年となり、合計で約52万円/世帯・30年の経済的効果となった。

 これまで窓改修の経済的効果は「暖冷房費」の削減のみで評価されていたが、健康コスト削減(「医療費」と「薬剤費」)を含めることで、約1・41〜1・61倍の経済的効果が見込まれることが分かった。
この研究により、窓断熱改修が省エネかつ健康な暮らしの推進に寄与することが期待されている。
藤田准教授は「日本では冬に亡くなる人が夏よりも10万人以上多く、その中には住宅の断熱性能が向上していれば救えた命が多くあったと考えられる。
同研究が健康的な住環境の普及に寄与することを願っている」とした。



日本住宅新聞提供記事(2024年12月15日・25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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