住宅情報

アスベスト事前調査を納得してもらう

昨年10月1日よりアスベスト事前調査は、工事の規模にかかわらず住宅を含む全ての工事において「建築物石綿含有建材調査者」が行う必要になった。
一方、「調査の仕方が分からない」、「報告書の作成の仕方が分からない」、「お客様に納得してもらえない」等といった声が聞かれている。

こうした中、そのような疑問を解決するため、(一社)JBN・全国工務店協会は、(一社)住宅リフォーム推進協議会(リ推協)が取りまとめた住宅リフォーム事業者団体向けの「レベル3の実務勉強会」を5月に開催した。

アスベスト事前調査は、以下を除く全ての工事が対象となる。
除かれるのは、①「木材・金属・石・ガラスのみで構成されているもの」、②「電球や畳など明らかに石綿含有が無いものの交換」、③「石綿含有の可能性がある建材に全く触れず、新たな建材を付加する工事」――の3つ。

リ推協担当者は例えば、内装工事においてクッションフロアを張るなどという工事の場合、何も下地補修の必要がなく、表面をさっと掃除をするだけでクッションフロアを重ね張りするのであれば、事前調査の対象ではないと指摘。
一方、既存のクッションフロアが例えばめくれているとか浮いているなどで補修をするのであれば、事前調査の対象になるとした。

そして、アスベスト事前調査の対象工事で絶対に除外できないものが3つあると言及した。
1つ目は「電動工具等を用いて穴あけを行う工事」。例えば外壁であれば、エアコンの配管などを取り付ける工事やアンテナ・防犯カメラなどを取り付ける工事の場合は穴あけを伴うため、事前調査を必ず行わなければならない。
家電量販店では、エアコンの配管を固定するなどの穴あけをする工事の場合、既にWebや店頭で必ず事前調査をしなければいけないという説明を消費者に対して実施しているとした。

2つ目は「下地処理として高圧洗浄やケレン掛け、補修を行う工事」、3つ目が「建物着工が2006年9月以前か以後かに関わらず全件の建築物」に事前調査が必要とした。

これまでアスベスト(石綿)は、段階的に規制強化されてきた。
例えば、1975年には石綿を5%を超えて含有する吹付け作業が原則禁止になった。
2004年には石綿を1%を超えて含有する製品の製造などを禁止。
2006年には石綿を0・1%を超えて含有する製品の製造などを禁止した。
このような規制強化のため、当時では規制値以下であっても、現在では規制値以上の可能性がある。

マンションの場合、洗面脱衣室やトイレなどの床のクッションフロアに石綿が多く含まれていたり、ユニットバスの裏側の石膏ボードなどに使われていたりするケースがある。
キッチンであれば、レンジフード周りのところに使われているケースもある。
また、戸建て住宅の場合、屋根材・外壁材・内装材・床材など、あらゆる建材に入っている可能性がある。

そして、リフォーム事業者にとって一番の悩みは、お客様にアスベスト事前調査を納得してもらえないことだと聞く。



日本住宅新聞提供記事(2024年6月5日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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