住宅情報

木材業者に説明責任はあるのか

住宅会社の補修費用請求に

木材業者全面勝訴

 

木材住宅の引き渡し後に発生した構造材のわれについて、請負工事を行った住宅会社が「補修の原因は木材にある」と、構造材を納入した木材業者に対して補修費用の負担を求めて訴えた裁判の判決が下された。

争点は①グリン材は在来木材の構造材として適切か

     ②木材業者は割れる可能性があることを住宅業者に説明する責任があったか

の2点で。判決はグリン材の割れは瑕疵ではない、木材業者が説明なくそれを納材することに債務不履行は認められないと、住宅会社の請求は却下された。

 

ことの発端は、施主のクレーム。「入居後に木材の割れる音が絶えず、不安を感じた」「点検したところ木材が乾燥収縮して割れており、建物にゆがみやよじれが生じていた」「1階天井板がずれて下地ボードの粉が落ちてきた」といったクレームを受け、住宅会社は木材の全面的な取り替えや補修工事を行った。費用は約1560万円。住宅会社は補修の原因は木材にあると考え、補修費用の全額負担を求めて木材業者を訴えた。住宅会社は「割れたから直した。原因は瑕疵のある木材だったから」と主張。木材業者が「グリン材を注文したのは住宅会社だ」と反論すると、「GRN材の表記では分からない。もともとグリン材という言葉は知らない」「そもそも割れるような木材は注文していない。グリン材は構造材として不適当」と主張した。これに対し、木材業者は木材の割れのメカニズムや割れが強度に影響しないことを裏付ける専門家の意見書を提出し、「じゅうたく会社は予算の関係からグリン材を発注した」「本件建物程度の割れなら強度的問題はない」「全面的な取り替えを伴う過大の補強工事は必要なかった」と反論。当該建物の割れと構造上の問題についての具体的立証を求めた。だが、立証はなされず、判決はグリン材は一般的に使用されている建材であり、貫通割れがなければ構造上強度に問題なはない」「『GRN材』という表記を認識することはもちろん、グリン材の特性も知っていて当然。知らないとするのは住宅会社が建材に対する知識や配慮を欠いていたことを示すにすぎない」。ゆえに「本件木材の提供に当たり、瑕疵や債務不履行を認めることはできない」と住宅会社の主張を退けた。一方、説明責任について住宅会社は「木材業者は納めた木材に異常が発生した場合、すぐに現場確認し、説明する義務がある。これを怠った木材業者は説明義務違反」と主張、木材業者は「補修工事が不要であることは説明しており、勝手に補修工事を実施した住宅会社にすべての責任がある」と反論した。判決は「住宅会社は日本建築学会の標準仕様書は(含水率20%以下)をクリアしていないことを説明する義務があると説明するが、グリン材は構造材として不適切な材料でなく、主張の前提を欠く」「グリン材は十分に乾燥していない含水率の高い木材であることは建築業界の一般常識で、これらの事実を説明する義務はない」と、説明責任についても住宅会社の主張を退けた。



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