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在来軸組工法でCLTパネルを活用

木構造振興㈱と(公財)日本住宅・木材技術センターは、林野庁補助事業「令和6年度CLT活用建築物等実証事業」において、検討委員会による審査を経て11件の提案を採択した。

同事業は、コストや耐震・居住性能、優れた施工性等の観点から、普及性や先駆性が高いCLT建築物の設計・建築等の実証についての提案を募集。
その過程により新たな発想等を引き出すとともに普及のための課題点やその解決方法の提案を行うもの。

採択された事業の1つが「地域工務店による高環境性能事務所の建築実証」(岐阜県恵那市)で、提案者は(協組)東濃地域木材流通センター、㈱ハフニアムアーキテクツ。用途は事務所(2階建て)、構造が在来軸組工法でCLTパネルを屋根・床で利用し、延べ面積が250・71㎡となっている。

同建築物は、地方における高環境性能の小規模事務所のプロトタイプの1つとして計画。
位置をずらして交互に掛けたトラス材間の上弦位置で、面のせん断を伴う圧縮伝達によりトラスとして完成させるのに最適な部材としてCLTを用いる。
また、階高を抑えるべく両面現わしの中2階床としてもCLTを用いる。

そして、同建築物をS造で計画した場合の建設コストの比較を行う。
また建設時・運用時・廃棄時のCO2排出量評価を日本建築学会「建物のLCA指針」等に基づいて評価し比較を行う予定だ。

「(仮称)花みさきⅢ新築工事の設計実証」(兵庫県神戸市)は、提案者が(福)神戸千ヶ峰会、㈱地域計画建築研究所大阪事務所。用途は高齢者施設(児童福祉施設、障害者施設)(3階建て)、構造が在来軸組工法でCLTパネルを床で利用し、延べ面積が1741・38㎡となっている。

同建築物は、耐火建築物となる老人ホームの居室や廊下など常に生活の基盤となる部分の床にCLTを利用して居住性能の向上を図る。
同事業では、床の仕様と柱や壁のプランニングについて議論し、CLT+在来軸組工法による居住性能及びコスト効果を検証する。加えて、他構造種別と比較したコスト比についても検証する。

しかし、他工法での高齢者福祉施設の実例は豊富であるが、施設の特性上、個別事情に左右されることが多く、単純な坪・㎡単価では比較は難しいとした。
一方、杭・地業等の地下構造への影響はあるが、地上部分のみで言えば、同事業の個室1箇所ないしはある限定された部分の積算内容と、RC、S造等で代替した場合のコスト比較は可能と考えている。
加えて、他工法との遜色ない価格実現には、リーズナブルな耐火被覆仕様の開発も効果的と考えるとした。



日本住宅新聞提供記事(2024年9月5日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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