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リフォーム市場の活況 工務店に利はあるか

新しく建てられる住宅の数が減少している。
国土交通省が公表している新設住宅着工戸数のデータによると、注文住宅を指す持家の着工戸数は前年同月比で6・6%減と33カ月連続の減少となった。

前年と比べて着工戸数が減っている状況は3年近く続いている。
そんな中、新築戸建てを専門とする工務店からは「リフォームへ業態をシフトしたい」、「今後はリフォームの時代だ」などの声を聞くことがある。

確かに2022年の年初などは高い需要が認められた。
コロナ禍で巣ごもり需要が生まれ、建主は新たな住まい方を模索し始めた。
在宅時間が長くなったため「いつもは気にならないところが気になるようになる」ため、小規模なリノベーションをするケースも多かったときく。

しかし、現在は新型コロナの5類移行からすでに1年以上が経っている。
経済環境は大きく変わった。特に大都市圏・都市圏では土地価格の高騰が目立っており、地場工務店の顧客が建てられる住宅金額を超えてしまう。

実際に東京都23区内の戸建て住宅は1億円超えが珍しくない。
マンションでも高級物件は2億円以上になることが多く、デベロッパーの担当者によれば「億ションは死語」という。
そこで同圏の工務店はマンションリフォーム・リノベーションにシフトしていると聞くが、共用スペースでの工事における注意事項など慣れないことは多い。
経営者自らがマンションリノベ工事を円滑に進めるための情報を集めているという事例もあった。

住宅リフォーム工事 受注高伸びも件数は減

そもそも、実際にリフォーム工事案件はどれほど伸びているのだろうか。国土交通省が公表している2024年度4~6月期の住宅リフォーム・リニューアル調査によると、受注高は右肩上がりに上昇しており、前年同期比4・3%増加とある。

一方で受注件数は前年同期比29・7%減と急落している。同時期から複数クォーターを遡っても同比マイナスが続く。

背景には建材価格や物流コストの高騰、さらに人工代の上昇などがあると推察される。しかし、コロナ禍を経てからリフォームの案件数は減少し続けている点に留意したい。

もちろん、国土交通省・経済産業省では省エネリフォームの重要性を謳っており、実際に二重窓などは手軽に防音性能や断熱性能の向上が期待できる。

しかし、費用のかかる断熱改修や耐震改修など躯体リフォームが前向きに検討されるとは限らない。
場合によってはスクラップアンドビルドで新築を建てたほうが安く済むケースもあるためだ。

リフォームの市場を見る際には市区町村別で需要にムラがある点に注意だ。
さらにこうした統計調査でも受注高が上がっているが、案件数は少なくなっているケースもある。

工務店は情報収集をする際の精度を上げていくことが重要だ。
こうした情報が経営方針の策定には役立つだろう。



日本住宅新聞提供記事(2024年10月25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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