「大規模修繕・模様替え」の必要書類を把握しよう
「大規模修繕・模様替え」の必要書類を把握しよう
東京ビルダーズネットワーク(TBN)および全木協東京は12月10日、東京都内で合同定例会を開催した。
この中で当日、副会長で(一社)JBN・全国工務店協会の副会長も務める岡庭建設㈱の池田浩和氏が今回の法改正で大きく注目されている「リフォーム工事における4号特例縮小問題」について講演。対象の施工と条文、注意すべき点などについて解説した。
池田副会長は来年4月に迫った4号特例の縮小を受け、新2号建築物に該当する既存の木造住宅のリノベーションなどは厳しい影響を受けると予測。
これまで建築士が設計を行う場合には、構造関係規定等の審査が省略されてきたが、今後は全て行われることになる点を強調する。
特に今回の法改正では「大規模修繕・大規模模様替え」を行った場合、建築確認申請が必要となることが決まった。
この「大規模修繕」とは建築物の主要構造部の1種以上について行う過半の修繕。「大規模模様替え」は建築物の主要構造部の1種以上について行う過半の模様替えを差す。
池田副会長は修繕と模様替えの違いについて「コロニアルで拭いた屋根を同じコロニアルで拭くことは同じ材料なので修繕。
一方コロニアルの屋根をガルバリウムで拭けば材料が変わるため、これは模様替えになる」とする。
これらの事例を踏まえ、国土交通省が今年8月に発表した木造戸建の大規模なリフォームに関する階段の改修に関する建築基準法上の取扱いについて紹介。
2階建て木造住宅はほとんどの家で階段が一つしかないが、これを交換するときは建築確認審査が必要になるとした。
当然建築確認申請を提出するためには建築士が必要となるが、大前提として大きなリフォームに建築の許可が必要と思っているお客さんはほとんどいない。
こうした点について池田副会長は懸念をみせ、既存住宅のリフォームにおける確認申請と建築士の関与を早急に社会に周知することの重要性を強調。最終的には事業者が周知に向けて取り組む必要が出てくるとする。
また、今回の改正で申請手続きに関する相談が増加することで、審査機関や特定行政庁が混乱する可能性が高いと指摘。
構造事務所も非常に多忙になることが見込まれる。過去には業務の逼迫や圧力によって構造計算書の偽装が発生した事例があったが、このような事態の再発を防ぐことが重要と話す。
行政庁も現在、法改正に関する勉強を進めている段階で詳細な問い合わせに対応できない場合もある。
さらに制度の詳細な運営については特定行政庁の判断が必要になる場合があり、各地域で異なる判断が下されるおそれも否定できない。
池田副会長は申請を行う地域ごとの特定行政庁に対し、今一度確認するよう求めた。
上記のような状況下において制度がスタートした場合、建築確認申請や完了検査において、大量の申請を迅速に処理するために標準化されたプロセスが用いられ、機械的に検査が進行してしまう恐れも出てきてしまう。
当然、書類不備がある場合、完了検査が完了せず必要な書類や情報が揃っていないと、検査が中断され、建築物の引き渡しや使用開始が遅延する可能性がある。
そこで「改正建築基準法2階建ての木造一戸建て住宅(軸組構法)等の確認申請・審査マニュアル」という冊子の中で申請手続きにおいて、申請内容に漏れがないようにするためのチェックリストが存在していると紹介。
必要な書類や手続きが網羅されているので、これ従うよう勧めた。
同書は国土交通省の改正建築物省エネ法を特集したHPから無料でダウンロードできる。
【同マニュアルダウンロード先】
日本住宅新聞提供記事(2024年12月15日・25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp