メーカー・資材情報

木の可能性を追求、建築に必要な工程を全て一気通貫で実現 ティンバラム株式会社

「まだないカタチを木でつくる」――。そんなコーポレートスローガンのもと、構造用集成材メーカーとしてより良いサービス・空間づくりの支援を手掛けているのが秋田県南秋田郡五城目町に本社を構えるティンバラム㈱だ。
この度同社を訪問し、本社に隣接する2つの工場を取材する機会に恵まれたので紹介したい。

同社は秋田グルーラム㈱と㈱MIYAMORI社が2020年4月に合併したことで誕生した企業。
設立以来、JKホールディングス㈱の製造加工企業として “Customer‘s №1 Choice”という理念のもと、今日も新しい技術と発想であらゆる木の可能性を追求。
最新マシンと高い技術、柔軟な対応力で顧客の建築ニーズに応えてくれる、東日本屈指の集成材企業となっている。

その強みは木造建築に必要となるすべての工程を自社で完結できる点だ。
高品質かつ多彩な構造用集成材の製造をベースに、設計・製造・加工・施工・販売まで一気通貫で実現させる。
さらに3Dデータで「意匠」と「構造」を擦り合わせながら施工図を作成することで、大型建築から戸建て住宅まで幅広く対応。
大館市にある同社3工場との連携で、湾曲したアーチ材、大断面集成材、複雑なプレカットなど、難しい特注材も受け付け可能だ。
例えば大規模木造建築に欠かせない大断面集成材については最大寸法長さ16m×幅2m×厚さ0・45m、長さ10m×幅0.6m×厚さ0・6mまでの製造を実現。
この他、東北を中心とした国産材のスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツをはじめ、輸入材のベイマツ、ベイヒバ、スプルース、オウシュウアカマツを使いJAS認証工場が誇る質の高い集成材を安定供給している。

同社の芳屋尚社長によると、こうした技術力を駆使することで、従来木造では実現が容易ではなかった複雑な形状や組み合わせなども達成。
もちろん、顧客から寄せられる地域材利用活用に向けた要望にも対応しており、「これらの取り組みが評価され、リピーターとなる顧客も多い」と話す。

最新技術と女性社員の活躍

現在、本社から道路を一本隔てた敷地に資材置き場や乾燥窯の他、集成材とプレカットを手掛ける2つの工場と大館市の3工場、計5工場を持つ。もちろん構造用集成材はJAS認証工場だ。
同社では国産材はグリーン材のラミナを自社で乾燥する割合が高い。
木材の乾燥は水を抜くスピードや含水率の捉え方など、企業によって理想とする設定はまちまち。
自社の基準に合わせるためにも乾燥に対する配慮は欠かせない。

集成材工場では国産材のスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツをはじめ、ベイマツ、ベイヒバ、ホワイトウッド、オウシュウアカマツ(レッドウッド)などのラミナを使用。高品質かつ多彩な集成材の製造を行っている。

もう一方のプレカット工場ではAIを搭載した最新のプレカットラインが戸建て住宅用の木材を加工。
CAD/CAMデザイナーが製作するデータをもとに、梁材、柱材、合板材、羽柄材の4つのラインが連動することで、1カ月で最大約80棟分の加工が可能となっている。

「ちょっと難しそうだな、嫌だなっていう物件はうちに問い合わせてほしいですね。うちのスタッフも難しい依頼を達成できたら、あんなのもできた、こんなのもできたって結構自信ついてくるんですよ」と芳屋社長。

実はここで木材加工に欠かせないCADなどのデータは、総務部門などから転属した女性社員が活躍しているケースも少なくないそうだ。
そんな女性社員について芳屋社長は「まじめで優秀な人が多い」と期待を見せる。

「非住宅」ではなく「広共建築」

建設現場に行けば当たり前のように目にする集成材などの木材。
だが、その背景には山から木を伐採し、加工などの段階を経て、工務店などの川下に製品として届けられているのが現実だ。
改めて工場を見学することで、例えば集成材であれば、一本一本ラミナを乾燥、張り合わせ接着し、寸法通りにプレーナー加工などを経て仕上げられたものであることが分かる。

特に同社では使用する樹種と求められる加工部位の多様さが特筆されるが、これらの顧客からの要望に応える豊富な機械類と着実にこなす工場のフローの仕組みには驚かされるばかり。
プレカット工場でも顧客から要望を受けた特注品のCADデータを同社大舘市や花巻市の事業拠点や同業他社で制作し、ドイツ製のフンデガ―社の特殊加工機で加工する例もあるとのことで、業界を取り巻く進歩の速さに感銘を受けた。

そんな同社の面白い特長の一つが、住宅以外の非住宅建築分野を「広共建築」と呼ぶこと。
「非住宅」の「非」という漢字にはどうしてもネガティブな要素が感じとれてしまうのも事実だ。
そこで「広く共に過ごす場所としての建築」という意味を込め、「広共建築物」と呼ぶことで親しみを伝える取り組みを行っている。

日々の工務店の仕事で必要不可欠な木材だが、それが手元に届けられるまでには一本一本に木材製造を行う企業のたゆまない努力がある。
現場仕事に忙しい工務店ばかりとは思うが、時には製材などの工場に足を運び、木材加工の奥深さについて触れて頂ければ幸いだ。



日本住宅新聞提供記事(2024年12月15日・25日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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