政策・補助金等

新たな省エネ施策「子育てグリーン住宅支援事業」とは?

さらに一段高い省エネ住宅の普及に向け、新たな施策が発表された。
国は今回の補正予算で「子育てエコホーム支援事業」の後継となる「子育てグリーン住宅支援事業」を発表。
これは、子育て世帯やカーボンニュートラル(CO2の排出をゼロにすること)を目指した住宅を支援するもので、総額2250億円を措置する方針だ。

 今回の注目ポイントに挙げられるのが、新築分野で補助対象として新たに加わった「GX志向型住宅」。環境省が所管し、全体のうちの500億円を措置している。

具体的には①断熱等性能等級「6以上」 、②再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」、③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」――を達成した場合、160万円/戸の補助を行う。ただし、③については寒冷地等に限り75%以上(Nearly ZEH)、都市部狭小地等の場合に限っては再生可能エネルギー未導入(ZEHOriented)も認める。

また新築では子育て世帯等を対象に長期優良住宅とZEH水準住宅の補助も行う。
予算は1350億円で国土交通省が担当する。補助額は「長期優良住宅」で“住宅の新築にあわせ、建替前に居住していた住宅など建築主(その親族を含む)が所有する住宅を除却する場合”は100万円/戸、その他の場合は80万円/戸。
「ZEH水準住宅」では同じく建替前住宅等の除却を行う場合、60万円/戸、上記以外の場合40万円/戸だ。

現行制度との違いは?

既存住宅のリフォーム分野では400億円を用意、こちらも国土交通省が担当する。
必須工事として①開口部の断熱改修、②躯体の断熱改修、③エコ住宅設備の設置――の3つを設定。さらに附帯工事として子育て対応改修、バリアフリー改修等を用意する。
このうち、必須工事3種の全てを実施する「Sタイプ」の場合、上限60万円/戸。いずれか2種を実施する「Aタイプ」の場合上限40万円/戸を補助する。

なお、今回から新築分野、リフォーム分野ともに注文住宅・分譲住宅のほか、従来認めてこなかった賃貸住宅も対象としているので、こうした物件を対象とする工務店は積極的な提案につなげてほしい。
この他、分譲住宅・賃貸住宅の新築に関する特則については住宅購入者が決定していない時点においても、あらかじめ補助要件に適合する住宅の戸数を登録することで、交付申請を行うことが可能だ(登録戸数の上限などあり)。

加えて長期優良住宅又はZEH水準住宅に限った賃貸住宅を対象とした追加ルールとして、「新築時最初の入居募集(3カ月間)は、対象を子育て世帯等に限定する」といったルールを設定している。
しっかり把握しておこう。交付申請までに事業者登録が必要とされているが、これについては「子育てエコ」の登録事業者であればそのまま本事業でも登録事業者として引き継がれる方針だ。

制度上は経済対策閣議決定日である令和6年11月22日以降に新築は基礎工事より後の工程の工事、リフォームはリフォーム工事に着手したものが補助対象。
だが、現時点で「子育てエコ」の予算が終了していないほか、本制度の事務局が立ち上がっていないので実際の運用にはもうしばらく時間がかかるものと思われる。

加えて、長期優良住宅やZEH水準住宅の住まいを建てる際、「子育てグリーン住宅」では現行の「子育てエコ」に比べ条件の強化や補助額の減少が見られる。
「子育てエコ」は12月末までが申請限度で予算もまだ残っているが、今後駆け込み需要等が発生する可能性もあるだろう。この点についても工務店は留意してほしい。

新築も対象に 3省連携キャンペーン今年もあります!

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性の向上に資する措置や高効率給湯器の導入など、新築住宅の省エネ化や、既存住宅の省エネリフォームへの支援を強化することが必要だ。
こうした中、令和6年度補正予算案では国土交通省、経済産業省及び環境省は、3省の連携により、①省エネ住宅の新築を支援する補助制度、②既存住宅の省エネリフォームを支援する補助制度――それぞれについて、各事業を組み合わせて利用すること(併用)を可能としている。

具体的に①では子育てグリーン住宅支援事業に加え、蓄電池を設置する場合の補助事業を設置する方針だ。
具体的には電力需要を制御することで、電力需給バランスを調整する仕組みに対応した蓄電システムの導入を支援する。

②では、「省エネ改修」、「その他のリフォーム工事」を用意した。「省エネ改修」としては㋑先進的窓リノベ2025事業(環境省)、㋺給湯省エネ2025事業、(経済産業省)、㋩賃貸集合給湯省エネ2025事業(経済産業省)――など。

㋑は高性能の断熱窓に対し補助を行う。リフォーム工事内容に応じて定める額(補助率1/2相当等)上限200万円/戸としている。

㋺はⓐヒートポンプ給湯機、ⓑハイブリッド給湯機、ⓒ家庭用燃料電池――について補助。補助額はⓐで10万円/台、ⓑで13万円/台、ⓒで20万円台となっている。

【これら事業に関するホームページ】
住宅:子育てグリーン住宅支援事業について - 国土交通省



日本住宅新聞提供記事(2024年12月5日号)
詳しくは、NJS日本住宅新聞社ホームページにてご確認下さい。
http://www.jyutaku-news.co.jp


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