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地域材認証の功罪

地域材認証制度が登場した背景には、国産材を振興したいが、国が直接、国内の林業・木材業を補助金で優遇するのはWTOとの関係で難しかったことがあった。

このため、地方地自体が地元材の需要を拡大しようと考え。柱材プレゼントする事業などでプレゼントする商品の品質にこだわってきたことで、地域材認証制度が各地に広まったのだろうと理解している。
実際に制度が運用されている地域では、地域産業を支える需要が安定してきて、地域経済に活力を与えているように感じたこともある。

県などの住宅補助制度と地域材認証制度がリンクし、補助制度の要件として一定の品質を満たした木材を使用する仕組みが各地でできている。
含水率、ヤング率、寸法精度などを規定したJAS相当ともいえる品質の木材が、各地器で流通していくことは、評価されてもいいと思う。JAS材の流通がなかなか増えないなかで地域認証材がこれを補完できれば、それは意義があるものと考えていた。

ただ、地域材認証制度には別の側面も見えてきた。それは、地域の需要を囲い込むことになりかねないということ。
さらに言えば国産材の広域流通を阻害する障壁にもなりうるという点だ。都道府県により地域の森林面積、木材産業の状況や住宅需要は異なるが、林業県でない都道府県でも限られた森林資源に限定した補助制度を設けるところもある。
地方自治体の予算を使うため、自治体内の木材を補助要件にするのは妥当なことなのだろう。しかし、森林資源は行政区画に基づいて分布しているのではない。林産県では逆に都市部への木材販売力に力を注ぎ、地元の住宅需要に補助金を使って応えるより、県外需要を獲得できるよう補助を行うケースがある。

住宅を購入する立場ではどうだろう。良質な木材を少ない予算で使えれば良いが、地域材が品質に優れた木材とは言い切れない部分もある。
地域材は地域で育った木材で、その地域に適した材という言い方をする場合があるが、これは必ずしも正しいとは言えないだろう。

地域材認証が品質まで担保するものなのか、産地、合法性だけを担保するものなのかは制度によって違うが、行政地域で木材を差別化することは木材業界にとって必ずしも良い面ばかりではではないだろう。

 

(日刊木材新聞 H24.11.27号掲載記事抜粋)

日刊木材新聞ホームページ http://www.n-mokuzai.com



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