住宅情報

「いえかるて」は第二の登記簿となりうるか

国土交通省では8月29日より不動産価格指数の試用運転を開始する。更地、建物付き土地、マンション等の価格変動について、地域別に月次公表される。

住宅価格指数は不動産投資や住宅の買い時等の参考情報として、米国で運用されているケース・シラー住宅価格指数に倣ったもの。

本情報提供は国際的な比較でも、情報公開が悪いと指摘された日本の不動産市場の改善も目的の一つとされている。海外の不動産バイヤーが投資家がジェイリート(不動産投資信託)に出資する際、国際的に比較できる指数を講ずることで、投資拡大をもくろむ。

世界から突っ込まれるだけではなく、国内においてもレインズ(不動産流通機構)の物件登録を免れ、不動産取引の透明性確保により自社収益を優先する不心得な宅建業者の存在は指摘されている。

期待はすっかり消え失せてしまったが、民主党政権発足時の前原誠司元国交大臣が打ち出した不動産買開業者の売り手、買い手双方からのいわゆる両手取引の問題等、不動産業界の体質の後進性も中古住宅流通が低迷する一因になっている。

宅建業者はレインズに7日以内に物件情報登録を法律で義務付けられているが、レインズに登録する前に成約を急がせたり、登録後であっても他の宅建業者から情報照会があっても「現在商談中」と、断ってしまうことなどざらに行われている。

旧態依然の不動産業界はあてにせず、住宅業界側で中古流通を促進する武器が住宅履歴情報「いえかるて」である。

登記簿のように普及するかについて検証してみよう。

2012年8月現在の「いえかるて」の登録状況は、工務店等の中小住宅生産者が建設する長期優良住宅に留まり、(一社)住宅履歴蓄積・活用推進協議会でも「いえかるて」登録率をつかみかねるほど、利用率は局所に留まっている。

大手ハウスメーカーの供給住宅は、仕様は異なるものの全物件がデータベース化されているが、「いえかるて」のような唯一の個別認識番号による情報公開を前提とするものではない。

工務店の情報履歴サービス機関への事業者登録の進捗率ほど、物件(住宅)登録が進まない理由として、「いえかるて」の意義や目的は説明できても、積極的に利用する便益を提示できていないからだ。

 

 

 

日本住宅新聞 最新号(2012年9月5日号)掲載記事

詳しくは、日本住宅新聞ホームページへ http://www.jyutaku-news.co.jp/

 

 



広告

おすすめサイト

新着情報

お電話でのお問い合せはこちら(受付時間:10:00〜17:00)

052-689-5551