住宅情報

新築半減でも2%成長達成への課題

中古8兆円、リフォーム12兆円、新築は7兆円

中古流通とリフォームで20兆円の数値は、「中古流通・リフォームトータルプラン」に掲げた、住宅産業の将来像定量で表した数字である。各自3%実質2%の成長を達成するための3つの課題。

不動産のリアリズムを身に付けた施主が出現する

4000万円の総予算で戸建て住宅を取得する場合、投資行為として正解はどちらとなるかは、JR中央線(東京都)にある2駅の住宅地価と家賃相場を比較することで導かれる。
荻窪に3000万円の土地に1000万円住宅を建てるのも、国分寺に2000万円の土地、2000万円の住宅を建てるのも、総予算は同じ、ローンを使うなら返済額も同じである。
ところが何らかの理由で賃貸に出さなければならなくなった場合に、相場家賃収入を比較すると、荻窪18.3万円、国分寺14.8万円と3万円強違ってくる。
荻窪は170万円/坪、国分寺は100万円/坪と地価の違いが家賃に如実に反映させることからだ。

自らが居住する住居費支出を帰属家賃とを支払っている間は不動産投資の優劣は分からない。
帰属家賃を賃貸や売却等の実態試算に転換するとたちまち現れる。税金、管理費、金利を控除前の不動産投資利回りでは荻窪が約5.5%、国分寺で4.4%と1%も投資効果に差が生まれる。
不動産投資の収益目安は利回り8%とされるので、戸建て賃貸住宅は投資商品としての魅力は薄い。
新世代から不動産リアリズムを身につけた施主が出現し、持ち家の概念そのものが変わるだろう。

住宅金融制度こそリフォームが必要

トータルプランの想定の中では、中古住宅流通に力点が置かれる大きな理由の一つに「住宅取得能力の低下」を挙げ、一次取得層の入口が中古住宅に変わるとされている。

中古住宅流通gまったくといっていいほど活性化してない地方圏の課題はファイナンスである。
275㎡の土地に.1993年9月に竣工された4SDKの木造住宅が980万円で売却募集されている。
鳥取県米子市の当該物件は、地価は10万円/坪程度、上物は築浅ではないものの、新耐震基準をクリアしているので200程度の評価と推定される。
スケルトン状態にした上で1000万円のリフォームを計画するとしたとしよう。
金融機関(銀行)はおよそ800万円分の土地しか担保価値を評価せず、土地分の住宅ローン融資だけしか行わない。
1000万円分のリフォームについては別の金融機関、ノンバンク等の金利の高いリフォームローンを借り入れる必要に迫られる。
リフォームローンはクレジットローン(信用金融)に区分され、無担保金融が原則で、金利は住宅ローンよりも高い。
銀行融資は担保主義が原則であるためリフォームローンに消極的である。
新築主義・土地担保主義の融資体系を改めない限り、地方圏においては中古・リフォームがローコスト新築の座をとってかわる環境は生まれない。

たたむ街コンパクトシティ 最大実需は高齢者住宅

資産価値リフォームは住宅業界が目標とする大きなテーマである。
資産価値リフォームの実現は簡単で、需要の高い場所、街並みにある物件をリフォームすれば直ぐに実現する。
逆に需要の低い評価しかない物件をどんなにリフォームしたところで評価は変わることはない。
具体的には人口減少が加速し、消費縮小により高齢者買い物難民が発生しているような地域である。

需要の高い場所や街並みを調べるには、不動産情報誌が調査する「住みたい街ランキング」を見ればすぐに分かる。
これからは単身独身者、子育て世代だけの住みよい街から高齢社会向け街づくりの転換が必要となる。

国土交通省では2020年までに高齢者が安心して暮らせる住まいを30万戸増やす政策を組む。
高齢者住まいという大きな実需に目を向けよう。

 

 

 

日本住宅新聞 最新号(2012年8月25日号)掲載記事

詳しくは、日本住宅新聞ホームページへ http://www.jyutaku-news.co.jp/

 

 



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