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 需要は秋に回復!?7~9月は5割以上が前年並み以上と予測

東日本大震災から半年が経とうとしている。市場は徐々に平静を取り戻しつつあるが、この震災が住宅産業に与えた影響はとてつもなく大きい。しかし、期待を含めて需要は秋に回復するとの見方が多いようだ。一方で、リフォーム市場が過熱している。ここで工務店は苦戦している模様。3.11のショックを乗り超える処方箋はあるのか。業界を良く知るジャパン建材を訪ねた。

7~9月の需要予測(ジャパン建材調べ)

ジャパン建材株式会社

 

  • 小川明範 ジャパン建材代表取締役専務 営業本部長 兼木材・プレカット部長。
    伊藤忠商事を経て、2006年ジャパン建材入社。2009年より現職。
  • 熊木美樹 ジャパン建材JKサポートセンター長。
    ファイナンシャルプランナー、性能評価委員・フラット35適合検査員・住宅ローンアドバイザー他

さらに追い込まれた工務店

小川 震災前、業界関係者の間では、「2011年は景気がよさそうだ」という話が年初からでていました。実際、昨年の秋ごろからの好調が続いてましたし、我々が四半期ごとに実施している市況の先読みアンケートでも、この4~6月期は良さそうだという回答が多かったです。年間住宅着工数では、85~90万戸を推移すると考える人も少なくありませんでした。

― そこに東日本大震災が起こる。地震、津波、原発。これらは住宅の需要にどんな影響を与えたのか。

小川 仮設住宅をはじめとする大量の仮需により、断熱材や合板、石膏ボードなどの基本資材を中心に、建材や設備は活発に動きました。実は震災から1カ月ほどたったころ、震災の影響を計ろうと、5・6月の先読みアンケートをとり直したのです。結果から言うと、震災の影響は軽微で限定的でした。ただし傾向としては、小さな工務店は振るわず、ハウスメーカーや地域の大型ビルダーの業績は総じてよかったのです。
その原因の一つは資材調達力です。リーマンショック以降の生産調整によって恒常的に不足気味だった基本資材が、震災後、一気に入手困難になりました。しかし、大手は建材設備メーカーと年間契約をしています。メーカーも供給量を果たすため優先的に製品をかき集めました。この視座調達力が明暗を分けたようです。

― 資材の入手が困難になるなかで、中小工務店は着工しても完工できる見込みが立たないため、受注を避ける傾向があった。さらに自粛ムードの影響も受けた。そして今だ解決しない原発問題の影響も懸念される。

小川 ただ6月に入ると、物流の動きは一服しました。4・5月の仮需に対応する為に建材店は大量に基礎資材を仕入れたので、商品が動きにくくなっています。それでも秋以降は順調に製品が流れていきそうです。ただし原発事故の影響が読めません。長期化すれば、住宅需要にもマイナスの影響を与えます。

熊木 震災が消費者に与えた影響はさらに深刻です。高額消費に際して被災者に遠慮する気持ちを持つ人が多く、節電も含め節約意識が高まっています。さらに震災復興財源として各種補助金の打ち切りになり、消費税の引き上げの話がメディアを賑わせています。今、家を建てていいのかと考える人が増えています。

小川 これも地域による差が大きく、西日本は震災の影響はほとんど感じません。

― 一方で原発事故が招いた電力需給への関心の高まりが、新しいニーズやトレンドを生み出そうとしている。

熊木 もともと住宅需要は政策と密接な関係があります。震災後の政府の方向性を反映して、施主の間で省エネや耐震というハード志向が再び強まる可能背があります。具体的には、まず「安全な家」に住みたいという欲求が強くなっています。同時に防災的な観点から太陽光発電の自立運転、節電の為の電気のみえる化(スマートハウス)への関心も高まっています。つまり、昨今の施主は、家いに対して明らかに第三者の評価を欲しがっているのです。これが長期優良住宅の制度が支持された理由でもあります。7月から、長期優良住宅を対象とした地震保険の割引制度がはじまりましたが、このニーズも急増しています。

 

リフォーム市場の勢い

― こうした震災に絡んだトレンドとは別に、年々も延びてきているのがリフォーム需要だ。工務店の関心はそうなのだろうか。

熊木 今年から完成保証付きリフォームローンの取り扱いを始めました。反響は大きく、毎日新規で工務店の登録があります。また、弊社では工務店向けにセミナーを開催していますが、リフォームをテーマにすると事前登録の倍近くに参加者が集まります。このことからも工務店のリフォームの関心は非常に高いといえます。

― しかし、リフォーム市場は活況を呈しているものの、工務店はリフォーム業者に押され苦戦している印象がある。

小川 弊社の取引口座を見ると、首都圏を中心にここ5年でずいぶん変化しました。設備工事や内装工事、ネットショップのような会社が増えました。これらの会社はリフォーム事業をメインにしていくところも多く、おそらくこれからも増えて行くでしょう。

熊木 もともとリフォームは工務店が独占していた仕事でしたが、今の工務店はお客さんから遠くなってしまっている。リフォームの仕事とというのはお客さんに近いほど取りやすいもの。現状は、修理たメンテナンスを行う工事会社の方がお客さんに近く、リフォームの依頼もされやすいのです。たとえ工務店が同じ土俵でリフォームの提案をしたとしても、クロージング能力でリフォーム業者に負けてしまう事も少なくありません。クロージング能力とは、リフォームローンや税制優遇を含めた資金計画の話や、工事内容の十分な説明ができることです。新築以上に詳細な提案営業になります。

また、現在ではネットしゃかですから、お客さんはさまざまな情報を得ることができる。その情報をもとに、何かしら得をしたいと考えるのが昨今のお客さんの心理です。こうしたいまどきのお客さんの情報量に対応できていないこともおおきいでしょう。

― 営業や接客で後れをとる工務店。では、てい何内容は競争力があるもんいなっているのだろうか。

熊木 リフォームといえばインテイリアの提案が重要になります。我々も家具店のFCとコラボレーションして、インテリア提案の支援メニューを始めたところです。

 しかし、インテリアの提案ができない工務店さんの問題点は、センスやトレンドへの関心の希薄さもそうですが、それ以上に材料の価格相場や工事内容については、しっかりした説明が出来ないことだと思います。

小川 そうですね。そもそもお客さんは「なんでも説明してほしい人」。提案内容がいいものでも、それが適正価格かどうかを見極めたいのです。リフォームでは特に部分的になると、その傾向が強く、詳細の説明が不可欠になります。

熊木 このほか工務店さんがリフォーム市場で競争力を強化するには、建てた家の定期的なメンテナンスを行い、建て主との近い距離を保つことが大切です。そのためにも長期のメンテナンスがセットになる長期優良住宅に取り組むべきです。理由があれば訪問することができ、自然に良好な関係がキープされ、将来のリフォーム受注にぐっと有利になりますから。

小川 我々は全国に約300ヶ所あるハウス・デポ・ジャパンの会員建材店をベースに、各種サービスを提供しています。リフォームの分野でも、工務店さんの苦手な法規や書類作成、コスト、プレゼンテーションなど側面をサポートセンターでフォローしていこうと考えてます。小規模な工務店さんが最も得意な「つくる」という現場仕事に集中できる環境づくりをしていきたいと思います。

(聞き手ー大菅 力氏 小さな家。計画プロデューサー)


JKサポートセンターのリフォームローン登録件数

 



保険法人たてもの、業務廃止 住宅あんしんが引き継ぎ

 国土交通省は9月14日、保険法人のたてもの(東京都港区)から9月13日付で業務廃止の申請があり、9月14日付で許可したと発表した。たてものが引き受け済みの保険契約については、住宅あんしん保証(東京都中央区)が引き継ぐ。

 業務廃止の理由について同社は、業績の不振や財務基盤強化のための資本増強が実現できなかったことにより、保険などの業務を運営していくことが困難となったためとしている。

 保険証券発行済みの保険契約については、保険契約者と住宅取得者ともに、従来通りの内容で保証を受けることができる。保険料納付済みの契約については保険証券未発行であっても、追加して保険料を納付する必要はない。

 保険料の一部未納がある場合は、未納付分を住宅あんしん保証に納付すれば保険証券の発行が受けられる。

 

詳しくは、新建ハウジングニュースにてご確認下さい。



 「震災復興で低炭素社会実現目指す」 提言

 
国土交通省の社会資本整備審議会と交通政策審議会交通体系分科会の両環境部会は、9月14日に開かれた合同会合で、東日本大震災の復興にあたって持続可能な社会を実現するための提言をまとめた。環境、経済、社会のすべての面で価値を向上させる低炭素社会を構築するため、再生可能エネルギーの導入や住宅・建築物の省エネ化などの促進を求めた。
 
 再生可能エネルギーの導入については、固定価格買い取り制度による太陽光発電、風力発電などの導入促進に加え、蓄電池やスマートグリッドの活用による自立分散型のエネルギーシステムの確立の必要性を指摘した。
 
 住宅などの省エネ化については、環境性能に応じたインセンティブの付与や、CASBEEなどによる環境性能のラベリング、建設から廃棄までのCO2収支をマイナスにする「LCCM住宅」などの普及促進を求めた。
 
 
 
詳しくは、新建ハウジングニュースにてご確認下さい。


  民主党の既存住宅流通促進ワーキングチーム(中村哲治座長、木村剛司事務局長)は、既存住宅流通の促進に向けた提案を盛り込んだ「中間報告」を取りまとめた。「ゼロ・エネルギー住宅」の普及に向け、補助制度などの創設を提言した。

 「中間報告」では、検討すべき施策として、ゼロ・エネルギー住宅の普及、住宅ローンの改善、工務店支援システムの3つの項目を提示。

 ゼロ・エネルギー住宅の普及に向けては、リフォーム瑕疵保険を条件とした補助制度の創設を提案。自治体の実施する補助制度への上乗せとして、エネルギー消費をほぼゼロにする「ゼロエネ断熱改修」を耐震改修とセットで行う工事について1戸あたり200万円、次世代省エネ基準を満たす改修には同100万円という案を示した。さらに、太陽光発電パネルや太陽熱温水器の設置、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)の導入に対する上乗せも別枠補助するよう求めた。

 住宅ローンについては、リフォーム瑕疵保険の対象となる工事ことを条件に、リフォームでも住宅金融支援機構の「フラット35S」などを利用できるようにすべきと提案。リフォーム普及を後押しする税制上の追加措置や、工事費用と販売価格を合計した額全体を融資対象とする仕組みの必要性も指摘した。

 こうしたリフォームなどを普及させるために、販売力のある不動産業者や流通などの新規参入組と工事を施工する工務店との連携の必要性も強調。工務店を簡易に評価し連携しやすい体制整備を求めた。

 

詳しくは、新建ハウジングWebをご確認下さい。



国交白書 住宅の耐震化促進 喫緊の課題と強調

政府は8月26日、平成22年度国土交通白書を閣議決定した。東日本大震災による被害の状況や復旧・復興に向けた課題を詳報。住宅分野では、耐震性が不足している住宅の解消が喫緊の課題と指摘した。さらに、地域建設業の疲弊によって災害時の公的役割の機能低下が懸念されるとして、環境整備の必要性を強調した。
 


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