住宅情報

適正な 中古住宅市場実現へ

 

 

 「フロー」から「ストック」へと住宅政策が大きく転換するなか、これまで具現化への道筋が見えていなかった「中古住宅流通の活性化」策が、ようやく本格化しそうだ。政府は新成長戦略で中古住宅流通やリフォーム市場を10年後までに倍増する方針を打ち出した。国土交通省は。いわゆるリフォーム瑕疵保険を利用した住宅が、工事後にいくらで売買されたかといった情報を収集し、分析結果をまとめる。。収集した情報は公表する考え。現在、中古住宅は不動産業者が価格を事実上決定しているといわれるが、内外装や水廻りの棟の改修に評価が傾きがち。今後、例えば地域工務店が手掛けたより良いリノベーション住宅ほど高く売買されるといった、適正価格による本格的な中古住宅市場が期待させる。

 

 

既存住宅流通活性化事業制度利用の例 

NJS220625.jpg 国交省は、本年度から「既存住宅流通活性化等事業」をスタートした。工務店などがリフォーム工事や既存住宅の流通事業を行う場合に、瑕疵担保保険法人による検査や履歴情報の登録・蓄積、瑕疵保険への加入等を実施する者に対して、リフォーム工事費の一部を助成するもので、住宅ストックの品質向上と中古住宅の流通を活性化させることを狙っている(第1期募集は終了)。国交省では同事業に採択された事業者を対象にアンケートを実施しており、リフォーム工事が市場での評価にどの様につながるかなどを把握しし、活性化対策につなげる。

 政府も、18日にまとめた新成長戦略で「ストック重視の住宅政策への転換」を改めて打ち出した。工程表では、2020年までに、中古住宅流通市場を現在の4兆円から8兆円に、リフォーム市場を6兆円から12兆円に、それぞれ倍増するとした目標を掲げた。

 新成長戦略では、住宅を「良いものをつくって、きちんと手入れして、長く使う」という観点に立ち、

「1000兆円の住宅、土地等実物資産の有効活用を図る必要がある」と強調。

そのため、

▽数世代にわたり利用できる長期優良住宅の建設

▽適正な維持管理

▽消費者が安心して適切なリフォームを行える市場環境の整備を図る

―としている。

 

 そのほか、高齢者向けの生活支援サービスや医療・福祉サービスと一体となった住宅供給の拡大、リバースモーゲージの拡充・活用促進などによる「高齢者の資産の有効活用」、「地域材等を利用した住宅・建築物の供給促進」等を通じて、市場規模の倍増と良質な住宅ストックの形成を図るとした。耐震改修についても、20年までに耐震性が不十分な住宅の割合を5%に下げる。

 市場倍増に向けた施策としては、来年度に中古・リフォーム市場整備のための「総合プラン」を策定・実施。

内容としては、

①建物検査・住宅履歴情報の徹底した普及

②中古住宅価格査定・情報提供の仕組整備

③既存不適格等に係る住宅・建築関連制度の見直し

―などを実施するとしている。さらに、本年度内に「住生活基本計画」も見直す考えだ。

 

 

 

 <日本住宅新聞H22.6.25号記事抜粋>



工務店不滅論

 地域に根差した地場工務店は絶対に必要だ。地域住民の安全と安心のために、さらに地域社会を豊かにするためにも、なくてはならない存在である。それなのに、なぜか地域工務店に元気がなく消えていく。方向が見えないからだ。土壌が悪く、根っこが弱いからだ。

 木造住宅がある限り、地域に根差した工務店は絶対になくしてはならないという視点で今回から数回にわたって地域に根差す、地場工務店不滅論を探ってみたい。

 

地域住民の命と財産を守る役割

 

NPO法人住まいの構造改革推進協会の鈴木芳郎理事が「東海耐震マイスター倶楽部」設立総会の基調講演で地域に根差す工務店の役割と題して次のように語り注目された。前段で、阪神・淡路大震災の被害地の中心であった神戸市長田地区で工務店を営んでいた社長の話に触れた後のこと―。

「木造住宅は、木材を切断することによって人の命を助けることも奪うこともできる。木造の構造をしっかり理解していれば、どこを切断したら助けることが出来るか瞬時に判断する事が出来る。地震発生後、十数分の間に多くの命を助けることが出来るのは、住宅の構造を理解し、道具がそろっている工務店であり、その工務店が救助のリーダーになることである。(略)、工務店は住まいを作るだけでなく、地域に根差し、地域住民の命を守るために、与えられた社会的役割と存在価値を認識し、日ごろの情報収集と知識力・技術力・判断力に磨きをかけて欲しい」

 

 これは同様に大手ハウスメーカーにも言ってほしい所だが、設立総会では工務店対象であったことから「工務店の役割」で終わってしまった。

 鈴木理事が言うように正に地域に根差した工務店は、地域社会に根ざさなければならない理由があり、役割があるということである。

 「金儲け」や「利益追及」「経営者欲望満足」のためにのみ、住宅事業を行ってはいけない、ということである。また日本は地震や台風・火災等の災害大国であるだけに、地域住民の命を守らなければならない役割があるということである。そういう意味で地域に消防団や町医者が必要なように、地場工務店も必要不可欠ま存在なのである。

これだけは「イザ、地震対策」「イザ、火事対策」という災害時災害復興のためだけの要員としてのみとられがちだが、当然その役割は大であり、そのために、絶対になくてはならない存在であるが、その他にも日頃の工務店経営の役割は大であるを忘れてはならない。

それは何か。

「災害に強い家づくりだけでなく、住宅貧乏から解放させ、豊かな住生活、幸せな家庭生活を生み出す工場となる家を作ること」。そして「日頃、地域住民が安心・安全に暮らせる街守り、家守りをする工務店力(一社で不可能なら数社またはグループで)をもたなければならない、ということである。

 

「子供が外で遊べない地域社会」

「年寄りの散歩もままならない地域社会」

「老人の孤独死が増えている」

 こんな地域社会になってきているのはどうしてなのか。

 それは「地域社会の安全・安心を守る地場工務店」が少なくなり、元気がなくなってきたからではないか。

 また、住宅資材の工業化・新建材・ユニット化によって建築職人をゲンゾウ大工化させ、職人の希望をなくし、元気を奪ってきたからではないか。

 このまま対応策に力を入れないと建築大工減少を止めることはできない。この減少を国を挙げて根本的に止める対策を打ち出さないかぎり住宅事業界だけでなく豊かな国づくりも望めそうもない。

 

住宅に関する人は、「家づくりは人づくり・国づくり」であることを強く認識して欲しいのである。

 

 

建築大工の減少著しい 30才未満が7万人以下に

 

それでは建築大工人口動向と工務店数の動向を見てみよう。

 

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別表のとおり、建築大工も工務店数も確実に減少している。

物づくり工務店(商務店ではない)にとってなくてならない建築大工が平成17年の総務省調査によると53万9,868人と平成7年調査時に比べ22万1,954人(29%強)の減少。昭和60年に比べ26万5,921人(33%)もの減少となっている。年齢別で見るとさらに悪く

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なっている。

 20才以上が平成17年には、平成2年の3分の1以下の6,000人を切り、30才以下は10年前に比べ33%も減少、同時に高齢化が進み、平均年齢が48.7才と高くなってきている。

 一方、工務店数はどうか。工務店の定義がないため工務店という調査項目はないが、総務省の統計分類では、木造建築工事業所と建築工事業所の一部が入るものと見られる。木造建築工事業は「主として木造建築物のみを完成する事業所をさす」としており寺社建築会社を除いて住宅建築請負の木造工務店と見て良い。それだけでも別表のとおり、平成18年調査では平成13年に比べて約9,000社(実質8,910事業所)も減少している。

 「建築工事業について総務省の定義は「木造のみでなくRC・S造等の建築物を完成する事業所」となっており、木造以外にRC造・S造建築を中心にやっている事業所で、工務店と呼ばれる事業所も数%含まれているとみて良い。特に木造規制の強い沖縄や大都市圏の防災地域にいる工務店の多くは、木造もやるが非木造の請負が多い兼業の事業所である。この分野の事業所も別表のとおり大幅な減少を示している。

 平成13年に比べ、5年後の平成18年には3,617事業所も減少。平成3年に比べれば8,476事業所も消えている。

 工務店の定義はないものの、弊社の読者対象としている工務店の概念(都内や大阪市内の工務店の多くはRC,S造が多くなっているものも含め)の中には、木造中心ではあるが、地域性によってRC・S造も建築に取り組まなければならない建築業者も入ってくるため「工務店数」という場合、この「建築工事業所」の中から、約10%位は「工務店」の範疇に入れても良いではないか、と見ている。従って我が国の工務店数は、ざっと86,756事業所(83,676+8,080)となる。建築リフォーム事業所まで入れるともっと増える形になるが、いずれにしても、全体の傾向として、工務店の減少は年々、進んでいる事は間違いない。

 この減少傾向の原因の一つに新築住宅着工数の減少に伴う過当受注競争があげられるが、「新築量が減少したから」「受注競争に負けたから」と言って「倒産しても仕方がなかった」という訳にはいかないのが住宅業界の特質なのだ。

 また受注競争において「勝ち・負け」はあっても「住宅の質は、受注の勝ち負けだけで決めれない」という特質があるという事である。

 それは「家には人をつくる」というパワーがあるからだ。

 

家づくりを軽く見てはいけない

命を担保にしてまで持つマイホーム=「住宅」。

 

工務店やハウスメーカーにとっていの一棟は何棟分の1か何百棟分の1か、大手ハウスメーカーになると何万棟分の1の価値しかないのが、お客にとっては、長期住宅ローンを組み生命保険をかけて求める「命がけそのもの」の一棟である。それだけに重く、大きな買い物であるだけに、受注競争(営業力)や営業テクニックで、住宅受注のを決めるのではなく「住まい手」とプロの「つくり手」が、同じ目線で住宅の持つ役割・目的・影響力等を考慮し、予算をにらみ協働で「幸せをもたらす工場」としての住宅をつくっていくべきではないだろうか。

次回は、大工・工務店の減少の背景に新設住宅着工量との関係もあるので、その点から論じてみたい。

 

工務店数もの大幅減  食い止めなければ大変

 

<日本住宅新聞H22.6.25記事抜粋>



 【フラット35】申請件数 

平成22年3月末 ※提供:(独)住宅金融支援機構

 

「明日の安心と成長の為の緊急経済対策」による【フラット35】Sの制度拡充後、【フラット35】Sの申請件数が増加。

平成22年3月は、全体で約11,400件、【フラット】Sが約8200の申請となりました。

【フラット35】Sの割合は全体の約70%に達しています。

 

 【フラット35】 申請件数 

 

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※フラット35の申請件数は、買取申請件数の合計です。また、買取型及び保証型の双方に同時に申請していいる件数及び、再申請分を含みます。

※フラット35の申請件数は、フラット50の申請件数を除いています。

 

 長期優良住宅建築等計画の認定実績 

平成22年4月末  ※国土交通省ホームページより

平成22年度第2四半期長期優良住宅認定実績.jpg

 

 

<JK情報センター 資料より記事抜粋>

 

 

 



暖色や寒色など資格から受ける色彩効果が、人間心理に与える影響は広く知られております。

加えて目で見るだけではなく、皮膚からも感ずることが出来ることが実証実験で証明されております。

色彩効果を上手に利用して物理的なエネルギーに頼ることなく省エネを図る方法をお伝えします。

 

 「色」から考える身近な省エネ

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 住宅における「省エネ」というと太陽光発電やエネファームなど大掛かりなものが思い浮かびますが、ここでは色から身近な省エネを考えていきます。

 色には「暖色」「寒色」「中性色」があります。色相環の中で、暖色は赤~黄色を指し、寒色は緑みの青・青・青紫を指し、それ以外の色を中性色と言います。文字通り、暖色は見た目に温かみを感じる色・寒色は涼しさを感じる色です。

それだけではなく色の効果は見た目に暖かい・涼しいにとどまらず実際に体に作用するのです。この色相環は虹の両端の色をつないで作ります。

 虹のできる仕組みは皆さんご存知のように、太陽光に含まれる様々な色が波長の長さによって順番に分かれるからです。つまり色は電磁波の一種です。ですから、色は目で見るだけではなく皮膚からも感じるものなのです。実際に、実験的に作られた真っ赤な部屋と真っ青な部屋に目隠ししたまま一定時間過ごすと見えないにもかかわらず、体温や心拍数等に明らかな違いが出ることが分かっています。一般的に同じ温度の部屋にいても、自律神経の刺激によって感じる体感温度は暖色系の部屋と寒色系の部屋では3度も違いがあると言われています。この体感温度の違いを上手に利用しない手はありません。

 

「色で省エネ」の具体的な方法とは?

 

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暑い夏を快適に過ごすためには「寒色」を、冬を快適に過ごすには「暖色」を使うのが良さそうだということは、既にお分かり頂いたと思います。では具体的にはどのように使うのでしょうか?自律神経に作用し実際に体感温度を変えるには、鮮やかな濃い色のほうが効果があります。けれどそれを広範囲に長時間使ってしまうと、刺激が強すぎて神経が疲れてしまい逆効果になります。二つの表を見て頂いてわかるように各色は白・黒・グレーを段階に混ぜることによって変化していきます。

 例えば、赤に白を混ぜることでピンクに、黒を混ぜることで茶になります。長時間いる場所に広範囲に色を使う時はこのように鮮やかさを抑えた色を使います。床や壁紙はなかなか季節ごとに変えることはできませんから、カーテンやソファーカバー・ベッドカバー・小物などで調整していくことになります。

どんどん暑くなるこれからの季節は特にリビングやベッドルームに寒色を使って涼しい夏を過ごしましょう。色相環の中の一色または隣り合った色の濃淡配色はまとまりが良く失敗の少ない組み合わせです。

 

 

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寒色の中でも特に青は水をイメージさせ涼しさを増します。また、後退色という物が遠くに見える効果がある色なので、部屋を広く風通し良いイメージを作れる色です。面積によって色が変わって見えることを「面積効果」と言いますが、明るく鮮やかな色は面積が大きくなるほど より明るく鮮やかに感じられ、暗い色は面積が大きくなるほど一層暗く感じられることが分かっています。ですから一色の濃淡配色の場合はカーテンやベッドカバー等広い面積に使う色は、気に入った色より薄く明るめの色を選び、クッションや枕カバーなど面積が小さくなるに従って濃い色になっていく方が自然に感じられます。

 ただ、青一色や隣り合った色同士の濃淡配色の場合、涼しさは増しますが寂しい感じになってしまうこともあります。そんな時は色相環の90度から180度の色をアクセントとして加えてみましょう。

 その時に大切なのはバランスです。加える色が鮮やかな色の場合5%くらい、淡い色の場合でもせいぜい20%まで。

主役はどの色なのかをハッキリさせることでバランスが取れます。

 

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 もう一つ涼しさを感じる配色としては、無彩色の白・グレーと少量の黒の組み合わせです。ただし、これだけではクールで冷たくなりすぎることもあるので、その場合は何か一色差し色を入れましょう。少量であれば暖色系を差し色に選んでも涼しげな雰囲気は保てます。また、色を効果的に使うなら素材を選ぶことも大切です。例えば青を使っていても、木の素材に青のペイントのテーブルや椅子はあまり涼しげには見えません。素材が木なら青のペイントよりは白木のように明るいものを選んだほうが爽やかに見えます。色ではありませんがガラスのテーブルやシルバースチール素材の椅子は、さらに涼しげになります。可能なら各部屋のライトの色も考えた方が良いでしょう。

 白熱電球は黄みの強い光なので見え方が全て暖色寄りに、逆に蛍光灯は青みの強い光なので見え方が寒色寄りになります。

 最近LEDライト等で光の色も選べるようになってきています。

 特に寝室には寒色の沈静効果を高める青み寄りの光をお薦めします。

 

「寒色」を使う場合の注意点

 

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体感温度を下げ、爽やかに過ごすための「寒色」ですがキッチンやダイニングには要注意です。寒色系は「苦い」「青くさい」などの味のイメージにつながりやすく、また食欲の無くなる夏には逆効果になります。

 キッチンやダイニングには夏でも暖色か中性色の中の黄色寄りのグリーンを使って食欲を減退させないようにしましょう。

 せっかくの省エネも体調を崩したり、ストレスを抱えては意味がありません。

 今年の夏は、色を上手に使って、エアコンの温度を下げ過ぎず快適に過ごすことをお試しください。

 

<Design & Data 2010 5/25記事抜粋>



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