政策・補助金等

就業者数は25年で半減 ~大工育成~

人手不足と高齢化が問題に

東日本大震災の復旧。復興に向けた動きのなかで、大工不足が顕在化してきた。

総務省国勢調査の2010年速報値では、大工は39万7400人と05年に比べて33.1%減少している。

1985年の80万5789人と比べると、この25年間で半減している。大工の減少は、プレカットの普及や住宅市場の縮小などであまり顕在化していなかったが、着実に大工人口は減少し、木造住宅業界の弱点にもなってきた。

大工の減少は新規参入者の少なさが物語っている。15~19歳の若年労働者数は95年に1万9444人だったものだが、05年には5282人と10年で約4分の1まで減少した。それは、所得や社会保障などの面で大工が魅力のない仕事になっていることが大きいだろう。

多くの大工は常雇でも社会保険とガソリン代、工具は自分持ちなどと言われるように、日当に経費が含まれていることが多く、手取りは決して多くない。社会保険のほとんどが国民年金と見られ、65歳を過ぎても年金が6万~7万円しかもらえないため、現場で働き続けるしかない。

大工の雇用形態や経費、社会保険などの加入状態についても国も実態をつかんでおらず、現在、木を活かす推進協議会で実施している省エネ講習受講者アンケートで大工の実態をようやく調査できるところまできた。

大工の育成については多くの工務店が取り組んできたが、「お金と時間を掛けて教育しても大工は定着しない」と工務店関係者が話すように、大工育成にかけた費用が無駄になるケースが多いものとみられる。社員大工化をすると有給休暇、残業代などの支払いが経営を圧迫するともいわれ、簡単ではないという。

大工を育成していくには、社員化することで発生するコストに見合った仕事をしてもらえるかに掛っており、腕の良い大工の仕事が金銭的に評価される仕組みができないと、大工の地位向上、収入増にはつながらないだろう。

また、大工を育てても技術が身に付くと他に行ってしまい、それまで育ててきた経費が無駄になることも多いという。大工育成のための社会的基盤がないなかで、どうやって大工を確保していくかが大きな問題になっている。

 

 

(日刊木材新聞 H25.2.7号掲載記事抜粋)

詳しくは日刊木材新聞紙面をご確認下さい。

日刊木材新聞ホームページ http://www.n-mokuzai.com

 

 



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