元請けの安価受注 職人賃金下げる~高齢化進み、さらに減少傾向強まる~
元請けの安価受注 職人賃金下げる
高齢化進み、さらに減少傾向強まる
建築や住宅の工事現場で、職人不足がさらに深刻化している。これまで長く続いたデフレ経済の影響で、元請けであるゼネコンや住宅会社などが安価な工事単位で受注していたしわ寄せが下請け業者に回るなど、職人の賃金が下がったことが要因だ。しかし、東日本大震災の復興需要の台頭に加え、13年は円安や株価高騰などで景気も徐々にデフレから脱却し始めており、同時に民間の建築投資が増え、消費税増税前の駆け込み需要などで住宅投資も活発化するなど、建築工事自体は増加傾向を示している。それに伴い職人の賃金は一部で上昇しているが、多少の賃金が戻った程度では、なり手が急に増えることはなく、職人不足は慢性化している。2020年の東京オリンピック開催が決定したなかで、さらに建設投資が活発化するのは時間の問題で、職人不足を根本的に解決する施策が急務になっている。
国土交通省がまとめた「建設投資と許可業者数及び就業者数の推移」によると、建設投資額は、1992年度の最盛期に約84兆円を記録し、2010年度に約41兆円まで落ち込んだ。しかし、11年度には震災復興需要等も発生し、13年度は約50兆円まで回復する見通しだ。その状況下で、建設許可業者数は99年度末に60万業者あったものが、12年度末には47万業者まで減少した。
デフレ経済の影響をまともに受けたもので、安価な工事単価での受注競争が続き、工事業者の収益悪化に拍車が掛かったことを物語っている。さらに建設業就業者数では、最盛期の97年平均で685万人だったものが、12年平均では503万人と最盛期から27%も減少している。
なかでも大工や型枠大工の人数減少が目立つ。日本建設大工工事業協会が国の統計調査等をまとめたものによると、大工は12年が40万万5500人なるなど05年から13万4368人減少(24.9%減)している。背景には、大工の賃金等を含めた労働環境が悪化したために若者の職人離れが進む等、結果として後継者不足となり、職人の高齢化を招いた。
国土交通省と厚生労働省は、建設業の人材不足を改善するため、13年6月に「建設人材不足対策」をまとめた。
その内容は、人材確保と人材育成、人材移動の3本柱だ。その手法は、業界団体の自主的な取り組みや建設産業の市場誘導、法律による規制等。なかでも法律による規制では、偽装請負に係る労働者派遣の禁止や社会保険未加入事業者の排除などを進めていく。特に建設業の社会保険を強化しており、17年度までに社会保険加入率を企業単位で100%にすることを決めている。
一方で下請企業は依然として利益確保が難しい状況下で、さらに重い社会保険料を負担するのが厳しいのも事実だ。
(日刊木材新聞 H26.01.14号掲載記事抜粋)
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